地―質からみる都市と集落


概要

2011年の東北地方太平洋沖地震とそれによる津波の甚大な被害は、我々の居住域をその足元-大地の側から根本的に問い直す重大な契機であったと考える。震災後、被災地をはじめとする様々なフィールド調査の過程で、〈地-質〉というキー概念の着想に至った。
〈地-質〉とは、一般的・地学的な「地質」の意味合いを含みながらもそれだけではなく、都市史分野において都市や建築のありようをより深く考えるためのキーワードとして提起している。
都市や集落など我々が居住する空間を、地形・地質・土壌・植生など、大地の側との相互関係から改めて考え直し、それぞれとの拮抗ないし共在の歴史の豊かで複合的な様相を、具体的に分析・記述するための方法を編むことを目的とする。

関連報告:

関連項目

「生環境」の歴史から、土地とのかかわりを考える


上妻世海+松田法子「『生環境』の歴史から、土地とのかかわりを考える」(対談),『遅いインターネット』,PLANETS,2020/全文:/https:/slowinternet.jp/article/roundforming01/

「地」に根ざした社会をつくりだすための知恵


上妻世海+松田法子「『地』に根ざした社会をつくりだすための知恵」(対談),『遅いインターネット』,PLANETS,2020/全文:/https:/slowinternet.jp/article/roundforming02/

変容する都市のゆくえ

-複眼の都市論


『変容する都市のゆくえ-複眼の都市論』(三浦倫平・武岡暢編,文遊社,2020年)/松田法子「さいたま-大地の『め』」/書籍概要/沖縄の基地都市、東京の下町、新宿・歌舞伎町、下北沢、渋谷の大規模再開発、さいたま、丸の内・東京駅、多摩ニュータウン……。目に見える「変容」と「不変」を疑い、その背後に何が起きているのかを問う。〔出版社〕/「さいたま-大地の『め』」構成/〈わたし〉/ わたし=大地が土地になる歴史段階と、その単位/ 各時代のわたし=さいたま/〈わたし〉=さいたまの現代/〈半島〉/解説 風景論から大地論へ/ 風景と大地/ ひっかかり要素ー地物、時間、社会、空間、文化の接触面について/ 風景論から大地論へ/

円山町の襞を歩く

渋谷の秘密 -12の視点で読み解く


松田法子「円山町の襞を歩く」(『渋谷の秘密ー12の視点で読み解く』パルコ出版,2019)/構成/ /はじめに 都市のケモノミチ/ /1 渋谷芸妓たち/小糸さんと鈴子さん/芸者町のはじまりといま/ /2 よい水の湧くところ/土地の先行核/神泉水、ヒメガイ/弘法湯のなりたち/ /3 神泉谷を貫く道/山に続く道/裏渋谷通りの正体/駒場野の道/ /4 円山町ができるまで/遊所のありか/陸軍と渋谷/土地利用からみる変遷/建物からみる変遷/土地所有者からみる変遷/ /5 台地からみる渋谷/地形からみる芸者階段/台地の面的開発/面から読み取る渋谷の都市史/大地を分節する水、棲み着くことの足がかり/ /おわりに 円山町、土地の生態史/

中川北山町

北山杉林業の文化的景観


茶室や数寄屋に欠かせない銘木、北山杉磨丸太の発祥地かつ中心生産地、中川北山町(旧中川村)。北山の険しい谷間で数世紀にわたって京都の都市文化と不可分に独自の林業を営んできた中川の暮らし、林業、風景について、地形、山林地所有、植生の変遷、集落の空間構成などの総合的観点から調査研究を行っています。/

富山県氷見市 新朝日山公園の設計にかかる都市史・地域史研究とワークショップ

2014-


 富山県氷見市の中心市街地に伸びる山脈の先端、朝日山。山頂付近にある7haの未利用地を約10年かけて公園に整備するプロジェクト。施設設計・ランドスケープデザインの全プロセスは市民ワークショップを経て決定されます。同時に、氷見の町や地域をよく知り、新しい公園の使い方・運営について考えるための地域史ワークショップとコミュニティデザインワークショップを連続的に開催していきます。/2016年度成果報告/成果報告ダウンロード(22.1MB)/2015年度成果報告/2014年度成果報告/成果報告ダウンロード(17.9MB)/成果報告ダウンロード(31.3MB)/

紀伊半島の漁業-港湾集落を対象とする社会・空間史アーカイブの構築

2016-


 紀伊半島には個性豊かな数多くの漁業集落が展開しています。和歌山市から鳥羽市までの浦々を網羅的に訪ね、地形・地質・道・街区・地割りパタンなどの地物的・空間的諸要素、生業とその推移、また近世以降の災害・復興歴等も含む記録・分析を行い、総合的な集落史アーカイブの構築を目指すプロジェクトです。/

地-質からみる神戸

2013


神戸スタディーズ#2/この講座では、大地、海、そして双方のあわいである“水際”という3つのエリアを設定し、地形などそれぞれ注目すべきポイントにフォーカスしながら神戸のまちに迫ります。/タイトルにある「地−質」とは、一般的な「地質」の意味合いを含みながらもそれだけではなく、都市や建築のありようやその行方をより深く考えていくための一つのきっかけづくりを目指した言葉です。その場所や土地のキャラクター(あるいはクオリティ)を再確認すること、またそして普段わたしたちの目に見えている都市や建築の空間的・時間的な表層から深層へと降り立つ体得的な知の獲得をめざすこと、などの意を込めています。/主なフィールドとして、旧居留地・元町・三宮に代表される神戸、そして隣り合う港町でかつより古い歴史をもつ兵庫を選び、都市「神戸」が位置付く大きな空間的骨格の把握を目指します。/「神戸スタディーズ」とは:/“神戸ってどん

地-質からみるさいたま

2015-2016


SEMINAR05「地-質から見るさいたま」/これまで「ベッドタウン」などの呼び名で一括りにされがちだった、居住機能を中心とする都市への視線変更や、一見希釈されているかに思われる土地のさまざまな場所性・古層の読み出しは、いかに可能なのか。集落史や土地利用史、微地形などを手掛かりに居住都市の形成過程を長期的視点で検証し、「さいたま」固有の土地の性格―“地-質”を探ります。/日時 2016年2月20日(土)14:00~16:30/会場 浦和コミュニティセンター第13集会室/講師 松田法子/聞き手 芹沢高志/進行 三浦匡史/ポスター/ダウンロード/連続セミナー開催概要/「さいたまスタディーズ」とは:/さいたま市が初めて開催するアートトリエンナーレ「さいたまトリエンナーレ2016」に先立ってプログラムされた地域調査研究とそのアウトリーチ活動。当トリエンナーレでは「土地の理解」が重要な出発点に位置づ

地-質からみる集落と都市:京都府・京都市北部地域を中心に

2013-


概要/北山杉および北山磨き丸太の製造に関わる長い歴史で知られる北山中川町を主なフィールドとして行っている調査研究である。/1年目の2013年度には、既往研究調査・資料分析・論点析出・現地調査準備を行うための研究会・勉強会の継続的開催(全16回程度)、全4次の現地調査を行った。また、下記の成果物を作製した。/明治25年仮製地形図とGISを用いた北山中川町の明治期植生図/GISを用いた北山山中一帯の地形図・地質図・表層土壌図/北山中川町と京都を事例に「山と都市」に関する諸関係をビジュアライズしたプロジェクトマップ/集落内丸太小屋の庇下空間利用状況および水系調査図/「地-質からみる都市と集落」手法フローチャートVer.1.0/森林組合関係者、北山丸太製造関係者などへのインタビュー起こし/メンバー/松田法子(研究代表)/長島啓子(生命環境科学研究科環境科学専攻/森林計画学)/矢内純太(同応用生命科

〈北山〉研究会

山地と流域の社会-空間 2013-


概要/京都北部にひろがる山々、山地は「北山」と通称される。/それは都に対し「北」という方位によって相対的に位置づけられた山地である。/その「北」山は、公家などの隠棲の場であったほか、天皇の墓所、有力神社の社領、都の造営やその維持に関わる木材資源の供給地、また日本海側からの物資の移入路であるなど、都市京都と歴史的に多様な関係を結んできた山地である点に大きな特徴がある。/北山をこのように捉えるとき、そもそも北「山」の地形や水系などのありさまと人文的諸相とは、いったいどのような関係のもとに山中の社会-空間をつくりあげ、また、それらが都市京都といかなる関係を有してきたのか。/本研究では、以上の関心に/「地-質からみる都市と集落」/というテーマを連動させ、地形・地質・土壌・植生・水系など、北山を貫きあるいは分節するような自然および人為的自然環境の把握によって、北山の「社会-空間」に迫りたい。/この作